【大阪・劇団・演劇】iaku(いあく)

昔この辺に住んでた人たちは、
あの山の稜線を楽譜に見立てて
曲をつくったんやって。

作・横山拓也 演出・上田一軒

〈東京公演〉
2017年10月19日(木)~24日(火) こまばアゴラ劇場
〈大阪公演〉
2017年11月2日(木)~6日(月) ウイングフィールド


はじめまして

iakuは2012年に劇作家の横山拓也が大阪で立ち上げた演劇ユニットです。iakuでは、徹底的にセリフ・会話にこだわった作劇を目指しており、土着的な関西弁口語を用いたディスカッションの積み上げによって「人物」や「事象」が浮き彫りにされるドラマを作っています。今作は、破局的噴火の後の世界で、身を寄せていた仮設住宅が、更に別の山の噴火の被害に遭うという複合的なダメージを受けた者たちの終末期における「愛と芸術」について描きたいと思っています。このように世界を設えると、震災のことを動機に作劇のスタートを切ったような印象を持たれると思いますが、モチーフはもう少し複雑です。アメリカの先住民は、遠景に見る山の稜線を絵に描き、その線を楽譜に見立てて音楽を奏でた、という話を聞きました。現代に生きる我々にとって、生活と芸術が密接な関係を築くには、極端な状況が必要かもしれないと考えて、少し前から僕の不安を支配する「カルデラ噴火」を扱うことにしました。(心にのしかかる得体の知れない不安を作品に吐き出せるのは、作家の特権だと思っています)長く演劇活動を行なっている一人として、どんな世界が訪れても愛と芸術が強く紐づいていてほしいと希望を持っているのかもしれません。なんだか小難しそうに映っているかもしれませんが、iakuの持ち味である軽妙な会話とユーモアを用いて、豊かな劇世界、人間ドラマをお届けしたいと思っています。皆様のご来場、心よりお待ちしております。


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作品紹介

アウトライン

中型のチュウヒで、この地域の人たちが「ハイツブリ」と呼ぶ渡り鳥がいる。このハイツブリが越冬のために渡ってくる丘、渡ヶ丘(わたりがおか)。ここに40戸の仮設住宅が建ち並ぶ。海からそう遠くない場所で、比較的近くに活火山(Cランク)、渡岳(わたりだけ)がある。日本列島が火山の活動期に入り、全国各地で噴火が相次いでいるが、誰もあの山が噴火するとは思っていなかった。九州で破局的なカルデラ噴火が起きた後の世界。九州はほぼ壊滅状態となり、西日本で多大な被害が出ている。関連して、地震や水害などもあり、日本全体が混乱状態に陥っている。複合的な災害により、関西以東でも多くの地域が帰還困難となり、各地に応急仮設住宅が造られた。ここ、渡ヶ丘避難所もその一つである。中国地方・関西地方の都市部にも積もった火山灰が影響して、交通・流通は麻痺していたが、1年が経ち、少しずつ都市の機能が回復しつつある。それでも、自宅に戻れない者は多数いて、仮設住宅に腰を据えることを選ばなければならないケースも多数あった。渡ヶ丘避難所も、ほとんどの人が新たな暮らしを受け入れはじめようとしていた。そんな折、またしても火山の噴火によって生活が壊されてしまう。近くの火山、渡岳が噴火した。噴石や火山灰によって、ほとんどの人間がこの渡ヶ丘を去り、新たな避難先を求めた。

イントロダクション

降灰で白く霞んだこの地で一人、汽夏(きなつ)が夫(秋切・あきら)の帰りを待っている。
火山活動は落ち着いたが、風向きによっては灰が降る日も多く、汽夏の髪は白く汚れている。
多くの仮設住宅が渡岳噴火(噴石)により損壊していたが、汽夏は比較的被害の小さかった建家に移動した。そして、かつてここに住んでいた住民たちが残していった備蓄を掻き集めて暮らしている。
やることは何もない。食糧も燃料も、次の冬を越すには少な過ぎる。
せめてもと、噴火の被害に遭い、放置されたままになっていた八人の遺体をポリバケツに入れ、
屈葬のようして土に埋めた。読経の代わりに思い出の歌をうたおうとしたが、思い出せない。
最近、いろいろなことが思い出せない。
次の冬まで汽夏の体は持つだろうか。秋切はいつ帰ってくるのだろうか。


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インタビュー

作者に聞く!
「ハイツブリが飛ぶのを」(2017年9月1日)

Q. ハイツブリってなに?

越冬のために日本に渡ってくる渡り鳥を、登場人物たちが「ハイツブリ」と呼んでいます。呼称は創作です。モデルは、ハイイロチュウヒという中型のタカ。カイツブリという鳥が実際にいるため、紛らわしくてすみません。

Q. どんな内容?

九州南部で破局的噴火が起きた後、日本各地で様々な災害が頻発している世界で、仮設住宅に身を寄せている人たちの愛と文化活動について描きます。しんどそうな設定ですが、会話はユーモアに溢れています。

Q. 「愛と文化活動を描く」。どんな「愛」を描くの?

前作でも少し触れたのですが、私たちは、いくつになっても恋愛ドラマの主人公として生きているわけで、そのことをちゃんと描いてみたいと思っています。初老(中年以上)の恋愛です。

Q. では「文化活動」の方は?

チラシのコピーにも使ったんですが、アメリカの先住民は、遠景に見る山の稜線を絵に描き、その線を楽譜に見立てて音楽を奏でた、という話を本で読んで。そういうことを演劇的に描けたら面白いな、と。

Q. 今回も議論劇?

議論や口論をエンタテインメントに仕立てるいつものiakuよりも、物語性、寓話性を高くした人間ドラマになります。過去作で言えば、「目頭を押さえた」のような手付きになっているんじゃないかと思うんですが。違うかな。

Q. 阪本麻紀さん(烏丸ストロークロック)の魅力は?

舞台上にいるだけで醸す雰囲気がすごい。悲壮感、疲弊、肉欲、ストレス、諦め、悲哀など全部背負い込んでくれる懐の深さ。なのに、かわいいし、陽気に振る舞える、その辺の怖さでしょうか。

Q. 緒方晋さんの役どころは?

ほぼレギュラーのように出演いただいていますが、今回は、本領発揮というか、らしさ満点の役どころをお願いする予定です。ツッコミ台詞が多くて、こりゃ忙しいな、と思ってます。

Q. 念願の平林之英さん(sunday)ご出演ですね。

実は、何度か平林さんにはiakuへの出演を依頼したことがあって、スケジュールなどでなかなか叶わなかったのですが、今回、ようやくご一緒できて嬉しいです。楽器も弾いてもらいます!

Q. 佐藤和駿さんとの出会いは?

去年、坂口修一さんの企画で参加した香川県の演劇祭(カブフェス)で彼の所属劇団のドキドキぼーいずも出演していて、はじめて拝見し、「見つけた!」と思いました。中年ばっかりの現場で申し訳ないですが。

Q. 上田一軒さんの演出で期待したいところは?

執筆中、書けてるところまでたびたび小出しに台本送ったのですが、無言を貫かれているのが怖いです。今回は「題材」よりも「人間」なので、俳優と一緒に深く潜っていってくれるのが楽しみ。


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公演情報

※開演の45分前より受付開始、30分前より開場
※開演いたしますとご入場を制限させていただく場合があります。時間に余裕を持ってお越しください


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チケット

※U-22は22歳以下の方が対象です
※U-22、高校生以下の方は年齢の確認できるものを受付にてご提示ください
※上演時間は約95分を予定しています
※未就学児入場不可
※当日券の情報は、公演期間中にTwitter(@iaku_info)で発信します


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キャスト

スタッフ

舞台監督:今井康平(CQ)
舞台美術:柴田隆弘
照明プラン:葛西健一
照明オペ:久津美太地(Baobab)
音響プラン:星野大輔(サウンドウィーズ)
音響オペ:櫻内憧海
演出助手:鎌江文子、竹田桃子
衣装:植田昇明(kasane)
宣伝美術:下元浩人(EIGHTY ONE)
写真:堀川高志(kutowans studio)
宣伝ヘアメイク:由季&長田浩典(iroNic ediHt DESIGN ORCHESTRA)
文芸協力:カトリヒデトシ
制作協力(東京):佐藤美紘
宣伝:吉田プロモーション
制作:笠原希(iaku・ライトアイ)
企画製作:iaku
東京公演提携:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
大阪公演提携:ウイングフィールド
助成: 


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お問い合せ

ライトアイ
06-6647-8243(11時~19時)
http://righteye.jp

iaku
info.iaku@gmail.com

 

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