憧れのシアタートラム。そしてiakuとして、やっと戻って来られたABCホール。中劇場進出をイメージして活動してきたこの数年間の集大成ともいえる公演。主演にモロ師岡さんと映画界のホープ杉田雷麟さんを迎え、古典落語「初天神」をモチーフのひとつにして親子の再生を描いた。図らずもモロさん演じる噺家くずれの芸人「鹿野克」の人生と、モロさん自身の人生がたびたび交錯するような内容となり、説得力のある人物像が立ち上がったのが印象的だった。舞台美術は二間続きの団地の一室を盆舞台に乗せ、シーンによって回転させながら進行。『逢いにいくの、雨だけど』以降の作品で多用している短いシーンの積み重ね、現在と過去が行き来する構成で見せた。CoRich舞台芸術アワード!2021にて1位に選出される。